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内部告発者の心象

mike2004

Published: 13 Dec 2019 › Updated: 13 Dec 2019

内部告発者の心象

内部告発後、改めて振り返れば、長い間、ショック状態にあった。平常心で勤務を続けることは難しかった。わが身可愛さの保身が大きいが、何事もなかったように口を噤み、一切を封印して会社にしがみついた。会社員生活の継続が全てで、会社は忠誠を尽くすべき対象であり続けた。

「どうなりました?」「左遷されたんだから終わり」復職後の当時、上司と交わした、顛末に関する唯一の言葉。諏○○担当部長の強烈なパワハラが原因で、周りは後始末に死屍累々。これ以上は、聞けなかった。戦友のような心持ちで、忘れたいタブーから互いが距離を取った。

カウンセリングに通って、前向きに働こうと頑張った。「どうしてやる気がでないのか?」を問うた。自分に原因を求めて、自分を変えるべく、問い続けた。今思えば、倒錯していた。

会社への大きな憎悪を抱え(ショック状態で自覚できてなかった)、後ろ向きな自分を責めながら頑張り続けた。幸い、一連の顛末とは切り離された異動後の職場では人に恵まれた。

但し、年2回の人事評価は重荷だった。半期を振り返って、自己評価する度、「後ろ向きな自分」と対面した。最後、評価者たる会社に焦点は移る。軽蔑する会社からの評価を受容することは会社を受容すること。都度、「信条をお金で売った」自分を軽蔑し、のたうち回った。都度、評価者たる会社の素性を詰問し、評価者たる資格の有無を問う勇気は無かった。

毎年、用意されているコンプライアンス研修の度、傷ついた神経が逆撫でされて再出血した。体裁だけが整えられた会社のための内部告発窓口。会社は企業倫理委員会の中立・公正なお飾りでしかない運営実績を積み上げていく。年に数百人の内部告発者は義憤に駆られ勇気を出した結果、何を得るのだろう?

個々の案件の事実有無を判断する企業倫理委員会は全員がNTT経営幹部。目的を考えれば、第三者が過半数を占めて然るべき組織なのに、第三者は一人もいない。企業倫理委員会の運営を監査する法人は非公表で、2017年5月の中立・公正な「第三者評価(サンプル調査)(年2回)」の結果は「おおむね適当」。企業倫理委員会のメンバは当事者でしかなく、監査する法人はNTTの支出で監査業務を請け負っている。NTTが宣う中立性・公共性に根拠はない。

二律背反(会社への憎悪と、同僚への感謝)の板挟みの中、長い間、よく頑張った。社内の誰であれ、全てをさらけ出して相談できなかったのが辛かった。知った以上は責任が生じると考えたから、タブーに巻き込む訳にはいかなかった。

社員を守るべき仕組みである内部告発体制のはずが、あるのは組織としての保身のみ。結果、対応は非人間的で鬼のようだ。同僚に申し訳ないが、個人が巨大な組織に対峙するため、内部告発者は鬼になって告発した。同僚に対する負い目、社会に対する背徳感に苛まれない日はない。

未来永劫に渡り記録が残る内部告発に一片の真実があれば、組織の患部は委縮し、決して存在しない還流のボリュームは小さくなるだろう。

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